S+Security+ 問題演習 SY0-701
D4出題比率 28% ・ 9 レッスン ・ 合計 107 分

セキュリティ運用

Security Operations

ドメイン4は、日々の現場でセキュリティを「回し続ける」ための知識を扱います。機器の設定を固める方法、資産や脆弱性の管理、ログの監視、ID とアクセスの管理、自動化、そしてインシデントが起きたときの対応までを学びます。出題比率は全ドメイン中で最大の 28% なので、シナリオ問題で「次に何をすべきか」を判断できるようになることが目標です。

D44.1読了目安 14 分

セキュアベースラインとハードニング

買ってきたままのパソコンやサーバーは、不要なサービスが動き、初期パスワードが残っていることがあります。こうした弱点を削り、組織が決めた安全な設定に揃える作業をハードニング(Hardening: 堅牢化)と呼びます。「安全な設定とは何か」を文書化した基準がセキュアベースライン(Secure baseline)です。

ベースラインの3段階

ベースラインは一度作って終わりではありません。CIS ベンチマークなどの業界基準を参考に策定(Establish)し、構成管理ツールで全機器に展開(Deploy)し、設定が勝手に変わっていないかを監視して更新し続ける維持(Maintain)という3段階で運用します。

1. 策定 Establish 2. 展開 Deploy 3. 維持 Maintain ベンチマークを基に 標準設定を決める 構成管理ツールで 全機器に配布 逸脱を監視し 更新を続ける 脅威や環境の変化に合わせて見直し
セキュアベースラインは策定・展開・維持を繰り返すライフサイクルで運用します。

ハードニングの対象

  • ワークステーション・サーバー: 不要なサービスとアカウントの停止、パッチ適用、ホスト型ファイアウォール
  • スイッチ・ルーター: 初期パスワードの変更、未使用ポートの無効化、管理は SSH に限定
  • クラウド基盤: 公開設定の見直し、最小権限の IAM ポリシー、ログの有効化
  • ICS/SCADA・組み込み機器・RTOS・IoT: パッチが当てにくいため、ネットワーク分離と物理的な保護で補う

無線 LAN の導入と設定

無線 LAN を導入する前には、サイトサーベイ(Site survey)で建物内の電波状況を実測し、ヒートマップ(Heat map)として可視化します。これによりアクセスポイントの配置と、建物外への電波漏れを事前に把握できます。暗号化には最新の WPA3 を使い、企業では事前共有鍵ではなく RADIUS サーバーによる AAA(認証・認可・アカウンティング)で、利用者ごとに認証するのが基本です。

モバイル端末の管理

スマートフォンを業務で使う場合、端末を誰が所有するかで導入モデルが分かれます。私物を使う BYOD(Bring Your Own Device)、会社の候補から選ぶ CYOD(Choose Your Own Device)、会社支給で私用も許す COPE(Corporate-Owned, Personally Enabled)の3つです。どのモデルでも、MDM(Mobile Device Management: モバイルデバイス管理)で暗号化やパスコードの強制、紛失時のリモートワイプを行います。

個人の自由 大 会社の管理 強 BYOD 私物端末を業務利用 所有:従業員 コスト:安い 管理:難しい MDM でコンテナ化 CYOD 会社の候補から選ぶ 所有:会社 コスト:中 管理:しやすい 機種を限定できる COPE 会社支給・個人利用可 所有:会社 コスト:高い 管理:最も強い 全体を暗号化・ワイプ どのモデルでも MDM による方針の強制が前提
BYOD・CYOD・COPE は、個人の自由と会社の管理の強さがトレードオフになります。
イメージBYOD の会社で社員が退職するとき、私物スマホの写真まで消すわけにはいきません。MDM で業務アプリとデータを「コンテナ」として分離しておけば、会社のデータだけを選択的に消去(選択的ワイプ)できます。

アプリケーションのセキュリティ

  • 入力検証(Input validation): 入力値の形式や長さを確認してから処理する。SQL インジェクション対策の基本
  • セキュア Cookie(Secure cookies): Secure 属性で HTTPS のみ送信、HttpOnly 属性でスクリプトからの読み取りを防ぐ
  • 静的コード解析(Static code analysis): 実行せずにソースコードを検査して脆弱性を見つける
  • コード署名(Code signing): 配布プログラムに署名し、改ざんされていないことと作成者を証明する
  • サンドボックス(Sandboxing): 不審なプログラムを隔離環境で動かして挙動を観察する
試験のポイント「設定のばらつきをなくしたい」ならベースライン、「電波の配置を決めたい」ならサイトサーベイとヒートマップ、「私物端末で会社データだけ守りたい」なら BYOD+MDM のコンテナ化が正解になりやすいです。コード署名は「改ざん検出」であって「脆弱性の発見」ではない点がひっかけです。
セキュアベースラインSecure baseline
組織が定めた安全な標準設定。策定・展開・維持の3段階で運用する。
ハードニングHardening
不要な機能を削り、設定を固めて攻撃面を減らす作業。
サイトサーベイSite survey
無線 LAN 導入前に電波状況を実測する調査。結果はヒートマップで可視化する。
RADIUSRemote Authentication Dial-In User Service
ネットワーク接続時の AAA を集中管理する認証サーバーのプロトコル。
MDMMobile Device Management
モバイル端末の設定やアプリを集中管理し、リモートワイプなどを行う仕組み。
BYOD / CYOD / COPEBring / Choose Your Own Device, Corporate-Owned Personally Enabled
端末の所有者と選び方による導入モデル。順に個人の自由が大きく、会社の管理が弱い。
入力検証Input validation
入力値の形式や範囲を確認してから処理するアプリの基本的な防御。
コード署名Code signing
配布プログラムに電子署名を付けて作成者と完全性を証明する。
この範囲の問題を解く(4問)
D44.2読了目安 9 分

資産管理

守るべきものが分からなければ守れません。資産管理(Asset management)は、組織が持つハードウェア、ソフトウェア、データを台帳で把握し、誰が責任を持つかを明確にする活動です。試験では「資産のライフサイクルのどの段階の話か」を見分ける問題がよく出ます。

1. 調達 Acquisition 2. 割り当て Assignment 3. 追跡 Tracking 4. 廃棄 Disposal 要件定義 購入の承認 安全な調達先 所有者を決める 分類ラベル付与 台帳に登録 インベントリ 列挙で野良資産 を発見 サニタイズ 物理破壊 消去証明書 保持期間を確認
資産は調達・割り当て・追跡・廃棄の4段階で管理します。

1. 取得・調達(Acquisition / procurement)

必要な要件を定義し、承認を得て購入する段階です。信頼できる調達先を選び、ライセンスやサポート期間を確認します。ここで記録を残しておくと、後の段階で「いつ誰が何のために買ったのか」を追えます。

2. 割り当て・会計(Assignment / accounting)

資産ごとに所有者(Ownership)を決め、機密度に応じた分類(Classification)ラベルを付けます。所有者は資産の責任者であり、アクセス権の承認やパッチ適用の判断を行います。分類は「極秘」「社外秘」「公開」のように、取り扱いの厳しさを決める基準になります。

3. 監視・資産追跡(Monitoring / asset tracking)

インベントリ(Inventory: 資産台帳)を最新に保ちます。ただし台帳は人が登録するものなので、登録漏れが必ず起きます。そこで列挙(Enumeration)と呼ばれるネットワークスキャンで、実際に存在する機器やソフトウェアを能動的に発見し、台帳と突き合わせます。誰も把握していない「野良サーバー」はパッチも当たらず、攻撃者の格好の入口になります。

4. 廃棄・運用終了(Disposal / decommissioning)

  • サニタイズ(Sanitization): 上書き消去や暗号化消去でデータを復元不能にする。機器を再利用・返却する場合に使う
  • 破壊(Destruction): 物理的に粉砕・焼却・消磁する。最も確実だが機器は使えなくなる
  • 証明(Certification): 消去や破壊を行ったことを第三者に示せる証明書を取得・保管する
  • データ保持(Data retention): 法律や契約で保存義務がある期間は消してはいけない。廃棄前に保持ポリシーを確認する
イメージリース切れのサーバーを返却する場面を想像してください。ディスクを物理的に壊すとリース会社に弁償することになるので、標準手順に従ってサニタイズし、消去証明書を受け取って保管します。ファイルを「ごみ箱から削除」しただけでは、復元ツールで簡単に戻せてしまいます。
試験のポイント「列挙(Enumeration)」は資産を発見して台帳を正確にする作業、「所有者」「分類」は割り当て段階、と対応を覚えましょう。廃棄では「返却する=サニタイズ+証明書」「返却しない=物理破壊」が定番の判断です。SSD には消磁(デガウス)が効かない点もひっかけとして出ます。
資産管理Asset management
ハードウェア・ソフトウェア・データを調達から廃棄まで追跡し、責任者を明確にする活動。
所有者Owner
資産に責任を持ち、アクセス権やリスクの判断を行う人。
分類Classification
機密度に応じて資産にラベルを付け、取り扱いの基準を決めること。
インベントリInventory
組織が保有する資産の一覧。常に最新に保つ必要がある。
列挙Enumeration
ネットワークスキャンなどで実在する機器やソフトを発見し、台帳の正確性を保つ作業。
サニタイズSanitization
上書きや暗号化消去でデータを復元不能にする処理。機器は再利用できる。
消去証明書Certificate of destruction / sanitization
データ消去や破壊を実施したことを示す証明書。監査や契約で求められる。
データ保持Data retention
法令や契約で定められた期間、データを保存し続ける義務。
この範囲の問題を解く(2問)
D44.3読了目安 14 分

脆弱性管理

脆弱性(Vulnerability)とは、攻撃者に悪用されうるソフトウェアや設定の弱点です。毎日新しい脆弱性が公開されるため、「見つけて、評価して、直して、確認する」作業を継続的に回す必要があります。これが脆弱性管理(Vulnerability management)です。

1. 発見 2. 分析 3. 対応 4. 検証 5. 報告 スキャン 侵入テスト 脅威フィード バグバウンティ 真偽の確認 CVSS / CVE 環境要因 優先順位付け パッチ適用 分離 補完的コントロール 例外・免除 再スキャン 監査 修正の確認 経営層へ報告 傾向の把握 継続的に繰り返す
脆弱性管理は発見・分析・対応・検証・報告を繰り返すサイクルです。

1. 発見(Identification)

  • 脆弱性スキャン(Vulnerability scan): ツールで自動的に既知の脆弱性を探す
  • アプリケーション検査: 静的解析(Static analysis: コードを読む)、動的解析(Dynamic analysis: 動かして試す)、パッケージ監視(Package monitoring: 使っているライブラリの脆弱性を追跡)
  • 脅威フィード(Threat feed): OSINT(公開情報)、有償情報、ISAC(業界ごとの情報共有組織)、ダークウェブ監視
  • 侵入テスト(Penetration testing): 攻撃者の視点で実際に侵入を試みる
  • 責任ある開示(Responsible disclosure)とバグバウンティ(Bug bounty): 外部研究者が安全に報告できる窓口と報奨金制度
  • システム・プロセス監査(Audit): 手順や設定が決まりどおりかを確認する

2. 分析(Analysis)

スキャナーの結果は必ずしも正しくありません。存在しない脆弱性を報告する偽陽性(False positive)と、実在する脆弱性を見逃す偽陰性(False negative)があり、見逃しのほうが危険です。確認(Confirmation)の後、CVE(Common Vulnerabilities and Exposures: 脆弱性の識別番号)と CVSS(Common Vulnerability Scoring System: 深刻度スコア)を参考に優先順位を付けます。

スキャナーの判定 「ある」と報告 「ない」と報告 実際に 脆弱性あり 実際に 脆弱性なし 真陽性 True positive:正しい検出 偽陰性 False negative:見逃し 最も危険 偽陽性 False positive:誤検知 手動確認で除外する 真陰性 True negative:問題なし
偽陽性は「誤検知」、偽陰性は「見逃し」。偽陰性のほうが危険です。

ただし CVSS の基本スコアだけで順位を決めてはいけません。露出度(Exposure factor: インターネットに公開されているか)、環境変数(Environmental variables: 補完的な防御があるか)、業界や組織への影響(Industry / organizational impact)、そして組織のリスク許容度(Risk tolerance)を加味して判断します。

イメージ隔離された検証サーバーの CVSS 9.8 と、インターネット公開の決済サーバーの CVSS 7.5 なら、後者を先に直します。スコアは脆弱性そのものの深刻度であって、自社でのリスクの大きさではないからです。

3. 対応と修正(Response and remediation)

  • パッチ適用(Patching): 最も基本的な修正
  • 分離(Segmentation): パッチが当てられない機器をネットワークで隔離する
  • 補完的コントロール(Compensating controls): 本来の対策の代わりに別の防御で補う
  • 保険(Insurance): 残るリスクを金銭的に移転する
  • 例外・免除(Exceptions and exemptions): 修正できない理由と期限を正式に記録し、承認を得る

4. 検証と報告

修正後は再スキャン(Rescanning)、監査(Audit)、検証(Verification)で本当に直ったかを確認します。最後に経営層や関係部門へ報告(Reporting)し、残っている脆弱性の数や傾向を共有します。

試験のポイント「報告されたが実在しなかった」は偽陽性、「見つからなかったが実在した」は偽陰性です。「パッチが出ない古い機器」のシナリオでは、分離+補完的コントロール+例外申請が定番の正解です。外部研究者からの報告を受け付けたいなら、責任ある開示とバグバウンティを選びます。
偽陽性False positive
実際には存在しない脆弱性を「ある」と報告する誤検知。
偽陰性False negative
実在する脆弱性を見逃すこと。偽陽性より危険。
CVECommon Vulnerabilities and Exposures
公開された脆弱性に付けられる世界共通の識別番号。
CVSSCommon Vulnerability Scoring System
脆弱性の深刻度を 0〜10 で表すスコア。優先順位付けの出発点。
露出度Exposure factor
その資産が攻撃にどれだけさらされているか。公開サーバーは高い。
補完的コントロールCompensating control
本来の対策ができない場合に代わりに講じる防御。
例外・免除Exceptions and exemptions
修正を見送る理由・期限・承認を正式に記録する手続き。
バグバウンティBug bounty
脆弱性を報告した外部研究者に報奨金を払う制度。
この範囲の問題を解く(4問)
D44.4読了目安 10 分

アラートと監視

どんなに守りを固めても、侵入を100%防ぐことはできません。だからこそ「おかしなことが起きたらすぐ気づく」監視(Monitoring)が重要です。監視の対象はシステム(サーバーや端末)、アプリケーション、インフラ(ネットワーク機器やクラウド)の3つに大別されます。

監視の活動

  • ログ集約(Log aggregation): 各機器のログを1か所に集めて横断的に分析できるようにする
  • アラート(Alerting): 条件に合致したイベントを通知する
  • スキャン(Scanning): 脆弱性や設定の逸脱を定期的に調べる
  • レポート(Reporting)とアーカイブ(Archiving): 傾向を報告し、ログを法令で求められる期間保管する
  • アラート対応: 隔離(Quarantine: 感染端末をネットワークから切り離す)と、アラートチューニング(Alert tuning: 誤検知を減らす調整)
ログの送信元 ファイアウォール サーバー / OS エンドポイント アプリケーション IDS / IPS・NetFlow SIEM ログ集約 正規化・保管 相関分析 アラート ダッシュボードに表示 アナリストが対応 隔離・検証・チューニング SNMP トラップや スキャン結果も取り込む
各機器のログは SIEM に集約され、相関分析を経てアラートとしてアナリストに届きます。

SIEM: 監視の中心

SIEM(Security Information and Event Management: セキュリティ情報イベント管理)は、ファイアウォール、サーバー、端末、アプリなど様々な機器からログを集め、形式を揃え(正規化)、複数のログを突き合わせて(相関分析)異常を検知するツールです。単体のログでは分からない「ログイン失敗が100回続いた直後に成功した」といったパターンを見つけられます。

イメージSIEM が毎晩数千件のアラートを出し、その大半が夜間バックアップの正常な通信だったとします。アナリストは「どうせまたバックアップだ」と思い込み、本物の攻撃を見逃すかもしれません。これがアラート疲れです。既知の正常な動作を除外するアラートチューニングで、本当に見るべき件数に絞ります。

監視に使うツール

ツール何をするかキーワード
SCAP設定やパッチ状態の確認を標準化された形式で自動化するコンプライアンス確認
ベンチマークCIS などが公開する推奨設定集。ベースラインの基準推奨設定
エージェント型 / レス端末にソフトを入れる(詳細)か、リモートから収集する(導入が楽)か粒度 vs 手軽さ
アンチウイルス既知のマルウェアをシグネチャで検出マルウェア
DLP機密データの持ち出しを内容検査で防ぐ情報漏えい
SNMP トラップ機器が状態変化(リンクダウンなど)を能動的に通知する機器の状態
NetFlow通信の統計情報(送信元・宛先・量)を収集。中身は見ない通信量の異常
脆弱性スキャナー既知の脆弱性を定期的に探す弱点の発見
試験のポイント「パケットの中身を保存せずに通信量の異常を知りたい」なら NetFlow、「機器のインターフェースが落ちたことを通知してほしい」なら SNMP トラップ、「設定が基準どおりかを自動確認したい」なら SCAP です。エージェントレスの利点は「導入・保守が楽」、欠点は「詳細な情報が取りにくい」と覚えましょう。
SIEMSecurity Information and Event Management
ログを集約・正規化・相関分析してアラートを出す監視の中核ツール。
ログ集約Log aggregation
複数の機器のログを1か所に集めること。横断的な分析の前提。
アラートチューニングAlert tuning
誤検知や正常な動作を除外し、重要なアラートに絞る調整。
隔離Quarantine
感染が疑われる端末やファイルをネットワークや利用から切り離すこと。
SCAPSecurity Content Automation Protocol
設定・脆弱性・パッチ状態の確認を自動化するための標準規格群。
SNMP トラップSNMP trap
ネットワーク機器が状態変化を監視サーバーへ能動的に通知する仕組み。
NetFlowNetFlow
ルーターなどがフロー単位の通信統計を収集・送信する技術。
DLPData Loss Prevention
機密データの不正な持ち出しを検知・防止する仕組み。
この範囲の問題を解く(3問)
D44.5読了目安 14 分

セキュリティ技術の変更による強化

このレッスンのテーマは「すでにある技術の設定を見直して守りを強くする」ことです。試験では「〇〇という問題が起きた。どの技術を導入・変更すべきか」という形で問われるので、技術と守る対象を一対一で結び付けて覚えましょう。

ネットワーク境界の防御

  • ファイアウォール(Firewall): ルールやアクセスリストでポート・プロトコル単位に通信を許可・拒否する。公開サーバーは外部と内部の間のスクリーンドサブネット(Screened subnet: 旧 DMZ)に置く
  • IDS / IPS: 侵入検知システムは攻撃を検知して通知、侵入防止システムは遮断まで行う。既知のパターン(Signatures)と逸脱(Trends)で検知する
  • Web フィルター(Web filter): エージェント型または集中プロキシ型で、URL スキャン、コンテンツ分類、評判に基づき遮断する
  • DNS フィルタリング(DNS filtering): 悪性ドメインの名前解決を拒否し、接続を未然に防ぐ
  • NAC(Network Access Control): パッチやウイルス対策の状態を確認してから端末の接続を許可する

安全なプロトコルへの置き換え

Telnet や HTTP のような古いプロトコルは、パスワードを含む通信を平文で送ります。盗聴されればそのまま読まれるので、暗号化された代替に置き換えます(Protocol selection)。あわせて使用ポート(Port selection)と通信の保護方法(Transport method: TLS や IPsec)を決めます。

安全でない(平文) 安全な代替(暗号化) Telnet(23) SSH(22) HTTP(80) HTTPS(443) FTP(21) SFTP(22)/ FTPS(990) SNMP v1/v2c(161) SNMPv3(161) LDAP(389) LDAPS(636) POP3(110)/ IMAP(143) POP3S(995)/ IMAPS(993) DNS(53) DNSSEC / DoH(443)
平文のプロトコルは暗号化された代替に置き換えます。ポート番号もセットで覚えましょう。

メールのなりすまし対策

自社ドメインをかたった詐欺メールは、受信側に「本物かどうか」を判定させる仕組みで防ぎます。SPF(Sender Policy Framework)は送信を許可する IP アドレスを DNS に公開し、DKIM(DomainKeys Identified Mail)はメールに電子署名を付けて送信元と改ざんを検証し、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)は「失敗したら隔離・拒否する」方針を宣言してレポートを受け取ります。加えてメールゲートウェイ(Gateway)で添付ファイルやリンクを検査します。

送信ドメインの DNS SPF:送信を許可する IP の一覧 DKIM:署名を検証する公開鍵 DMARC:失敗時の方針と報告先 送信サーバー DKIM 署名を付けて送信 受信サーバー 3つを検証して判定 メール送信 DNS に問い合わせ レコードを公開 合格 → 受信箱へ quarantine → 隔離 reject → 拒否
受信サーバーは DNS 上の SPF・DKIM・DMARC レコードを使ってメールを検証します。
イメージ取引先に自社名の偽メールが届いたとします。SPF と DKIM だけでは「検証に失敗した」と分かっても、受信側がどう扱うかは決まっていません。DMARC で reject を宣言すれば偽メールは拒否され、どれだけ出回ったかのレポートも届きます。

端末と OS の防御

  • グループポリシー(Group Policy): Windows の設定を Active Directory から一括で強制する
  • SELinux: Linux で強制アクセス制御を実現し、プロセスの権限を制限する
  • ファイル完全性監視(FIM): 重要ファイルのハッシュを基準と比べ、改ざんを検知する
  • EDR / XDR: 端末の挙動を記録・分析して攻撃を検知・対応する。XDR はネットワークやクラウドまで範囲を広げる
  • ユーザー行動分析(UBA): 平常時の行動を学習し、「深夜に大量ダウンロード」のような逸脱を検知する
  • DLP: 機密データのメール送信や USB コピーを内容検査で止める
試験のポイント「設定ファイルが改ざんされた」なら FIM、「シグネチャに当てはまらない異常な行動」なら UBA、「公開サーバーが侵害されても内部に入られたくない」ならスクリーンドサブネット、「Telnet を使っている」なら SSH への置き換えが定番です。ポート番号の変更やパスワード強化は平文の問題を解決しません。
スクリーンドサブネットScreened subnet
外部と内部のファイアウォールに挟まれた公開サーバー用のネットワーク。旧称 DMZ。
SPFSender Policy Framework
送信を許可する IP アドレスを DNS で公開する仕組み。
DKIMDomainKeys Identified Mail
メールに電子署名を付け、送信元と内容の完全性を検証する仕組み。
DMARCDomain-based Message Authentication, Reporting and Conformance
認証失敗時の処理方針(none / quarantine / reject)と報告の仕組み。
FIMFile Integrity Monitoring
重要ファイルの変更を基準値との比較で検知する。
NACNetwork Access Control
端末の健全性を確認してから接続を許可する制御。
EDR / XDREndpoint / Extended Detection and Response
端末(EDR)や全体(XDR)の挙動を監視して検知・対応する。
ユーザー行動分析User Behavior Analytics
平常時の行動からの逸脱を検知する技術。
この範囲の問題を解く(5問)
D44.6読了目安 15 分

ID とアクセス管理(IAM)

「誰が」「何に」「どこまで」アクセスできるかを管理するのが IAM(Identity and Access Management: ID とアクセス管理)です。多くの侵害は盗まれたり放置されたりしたアカウントから始まるため、IAM は運用の土台です。

アカウントのライフサイクル

入社時にアカウントと権限を作るのがプロビジョニング(Provisioning)、退職や異動で無効化するのがデプロビジョニング(De-provisioning)です。作る前に本人確認(Identity proofing)を行い、運用中は管理者が定期的に権限の妥当性を確認・承認する証明(Attestation)を実施します。権限は必要最小限だけ与える最小権限(Least privilege)が原則です。

SSO とフェデレーション

一度のログインで複数のサービスを使えるのがシングルサインオン(SSO)、組織の枠を越えて ID を信頼し合うのがフェデレーション(Federation)です。LDAP は社内ディレクトリに問い合わせるプロトコル、SAML は XML 形式のアサーションで Web の SSO を実現する規格、OAuth は「このアプリに私のデータへのアクセスを許可する」認可の仕組みです。

ユーザー ブラウザ SP クラウドサービス IdP 自社の ID 基盤 1. サービスにアクセス 2. IdP へ転送 3. ID とパスワードで認証 4. 署名付きアサーション 5. 提示 パスワードは IdP にしか渡さない
SAML では、SP から IdP へ転送されたユーザーが認証を受け、署名付きアサーションを SP に持ち帰ります。
イメージ社員がクラウドの勤怠サービスを開くと、自社のログイン画面に転送されます。そこで認証を済ませると「確かに当社の社員です」という署名付きの証明(アサーション)を持ってサービスに戻り、ログインが完了します。パスワードはクラウド側には一切渡りません。

アクセス制御モデル

モデル誰が決めるか例
強制(MAC)システムがラベルとクリアランスで決める。所有者も変更不可軍・政府の機密区分
任意(DAC)所有者が自由に権限を与えるファイルの共有設定
ロールベース(RBAC)役割に権限をまとめて割り当てる経理ロール、管理者ロール
ルールベース決めたルールで一律に判定するファイアウォールの ACL
属性ベース(ABAC)ユーザー・資源・環境の属性で判定する社内かつ業務時間なら許可
時間帯制限許可する曜日・時刻を限定する深夜のログイン禁止

多要素認証(MFA)

認証の要素は、知識(Something you know: パスワード)、所持(Something you have: トークン、スマホ、セキュリティキー)、生体(Something you are: 指紋、顔)、場所(Somewhere you are: 位置情報)の4種類です。MFA は「異なる種類」を2つ以上組み合わせることで、パスワードと PIN のように同じ種類を2つ使っても MFA にはなりません。

知識 Something you know パスワード PIN・秘密の質問 所持 Something you have トークン・スマホ セキュリティキー 生体 Something you are 指紋・顔 虹彩・声 場所 Somewhere you are GPS IP アドレス MFA = 異なる種類の要素を2つ以上組み合わせる
MFA は知識・所持・生体・場所のうち、異なる種類の要素を2つ以上組み合わせます。

パスワードと特権管理

  • パスワードのベストプラクティス: 長さを重視、使い回し禁止、むやみな定期変更より漏えい時の即時変更
  • パスワードマネージャー: 長くランダムなパスワードを安全に保管し、使い回しをなくす
  • パスワードレス(Passwordless): セキュリティキーや生体認証でパスワード自体をなくす
  • PAM(特権アクセス管理): 必要な時だけ承認を経て特権を付与するジャストインタイム(JIT)、特権パスワードを金庫で管理するパスワード保管(Password vaulting)、作業ごとに使い捨てる一時的な資格情報(Ephemeral credentials)
試験のポイント「XML ベースで Web の SSO」なら SAML、「ラベルとクリアランス、所有者でも変更不可」なら MAC、「役割で権限をまとめる」なら RBAC です。パスワード+指紋は知識+生体で正しい MFA ですが、パスワード+秘密の質問は知識×2 なので MFA ではありません。退職者アカウントの放置は「人事連動のデプロビジョニング+定期的な証明」で防ぎます。
デプロビジョニングDe-provisioning
退職や異動に伴いアカウントと権限を無効化する手続き。
証明Attestation
付与されている権限が今も妥当かを管理者が定期的に確認・承認すること。
フェデレーションFederation
組織やサービスの間で ID を信頼し合い、SSO を実現する枠組み。
SAMLSecurity Assertion Markup Language
IdP と SP の間で XML 形式のアサーションを交換して Web の SSO を実現する規格。
MACMandatory Access Control
ラベルとクリアランスに基づき、システムが強制的に制御するモデル。
RBACRole-Based Access Control
役割に権限をまとめ、ユーザーに役割を割り当てるモデル。
PAMPrivileged Access Management
特権を JIT 付与やパスワード保管で厳格に管理する仕組み。
この範囲の問題を解く(5問)
D44.7読了目安 9 分

自動化とオーケストレーション

セキュリティ運用には、アカウント作成、アラート対応、設定の確認など、繰り返しの作業が大量にあります。これらを人手で行うと遅く、ミスも起きます。自動化(Automation)は個々の作業を機械に任せること、オーケストレーション(Orchestration)は複数のツールや作業を連携させて一連の流れとして実行することです。その代表が SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)です。

SIEM アラート マルウェア検知 SOAR プレイブック実行 API で各ツールと連携 1. チケットを自動作成 2. 端末をネットから隔離 3. 脅威情報を自動照会 4. 担当者へエスカレーション 人は最終判断に集中できる (反応時間の短縮・作業の標準化)
SOAR はプレイブックに従い、アラートをきっかけに複数のツールを API で連携させて対応を自動実行します。

自動化のユースケース

  • ユーザープロビジョニング: 人事システムの入社・退職情報と連動してアカウントを作成・無効化する
  • リソースプロビジョニング: サーバーやクラウド資源を標準構成で自動構築する
  • ガードレール(Guard rails): 危険な設定(例: ストレージの全公開)を自動的に禁止・修正する
  • セキュリティグループ: ネットワークのアクセス許可を自動で設定する
  • チケット作成とエスカレーション: アラートから自動で起票し、担当者へ引き継ぐ
  • サービスやアクセスの有効化・無効化: 侵害が疑われるアカウントを即座に停止する
  • 継続的インテグレーションとテスト(CI): コード変更のたびに自動でセキュリティテストを実行する
  • 統合と API: ツール同士を API でつなぎ、情報と操作をやり取りする
イメージSIEM がマルウェアを検知したとき、人手なら「チケットを作って、端末を隔離して、脅威情報を調べて、上司に連絡する」のに30分かかります。SOAR のプレイブックに書いておけば、同じ手順が数秒で、深夜でも、誰が当番でも同じ品質で実行されます。アナリストは「この端末を本当に初期化するか」という判断に集中できます。

自動化の利点

  • 効率化と時間の節約、反応時間(Reaction time)の短縮
  • ベースラインの強制と標準的なインフラ構成(Standard infrastructure configurations)の維持
  • 安全なスケーリング: 機器が増えても同じ品質で設定できる
  • 従業員の定着(Employee retention): 単純作業を減らし、燃え尽きを防ぐ
  • 労働力の倍増(Workforce multiplier): 少人数で多くの作業をこなせる

注意すべき点

自動化は万能ではありません。仕組みが複雑(Complexity)になり、導入と維持にコスト(Cost)がかかります。1台のサーバーにすべてを集約すると単一障害点(Single point of failure)になり、止まればすべての自動処理が停止します。場当たり的なスクリプトは技術的負債(Technical debt)となり、作った人が辞めると誰も直せなくなる継続的な保守性(Ongoing supportability)の問題も起きます。誤った処理が高速に大量実行される危険もあるため、監査は引き続き必要です。

試験のポイント「アラートからチケット作成・隔離・エスカレーションを人手なしで」というシナリオは SOAR のプレイブックが正解です。「すべてを1台で自動化した設計の問題点」は単一障害点、「自動化で監査は不要になる」「常に安全」は誤りの選択肢として出ます。利点と考慮事項の語句をそれぞれ区別して覚えましょう。
オーケストレーションOrchestration
複数のツールや作業を連携させ、一連の流れとして自動実行すること。
SOARSecurity Orchestration, Automation and Response
プレイブックに基づきセキュリティ対応を自動化・連携するプラットフォーム。
プレイブックPlaybook
特定のアラートに対して実行する手順を定義したもの。SOAR が自動実行する。
ガードレールGuard rails
危険な設定や操作を自動的に防ぐ仕組み。クラウドでよく使われる。
継続的インテグレーションContinuous integration
コード変更のたびに自動でビルドとテストを行う開発手法。
単一障害点Single point of failure
そこが止まると全体が止まる構成要素。自動化基盤の集約で生じやすい。
技術的負債Technical debt
場当たり的な実装が積み重なり、将来の保守コストとして残るもの。
労働力の倍増Workforce multiplier
自動化により少人数で多くの成果を出せるようになる効果。
この範囲の問題を解く(2問)
D44.8読了目安 13 分

インシデント対応

セキュリティインシデント(Incident)とは、ランサムウェア感染や情報漏えいなど、組織に実害をもたらす出来事です。パニックにならず被害を最小にするには、あらかじめ決めた手順に沿って動く必要があります。試験では「この状況で次に行うフェーズはどれか」が繰り返し問われます。

1 準備 2 検知 3 分析 4 封じ 込め 5 根絶 6 復旧 7 教訓 平時 計画・訓練 異常に 気づく 範囲と 原因を調査 隔離して 拡大を止める 脅威を 取り除く 正常状態に 戻す 振り返り 改善 教訓を次の準備に反映する
インシデント対応は準備から教訓までの7ステップで進み、教訓を次の準備に反映します。

対応プロセスの7ステップ

  • 準備(Preparation): 平時に計画、連絡先、ツール、訓練を整える
  • 検知(Detection): アラートや通報で異常に気づく
  • 分析(Analysis): 本当にインシデントか、範囲と深刻度はどれほどかを調べる
  • 封じ込め(Containment): 感染端末の隔離などで被害の拡大を止める
  • 根絶(Eradication): マルウェアの削除や脆弱性の修正で原因を取り除く
  • 復旧(Recovery): バックアップからの復元などで正常な業務に戻す
  • 教訓(Lessons learned): 振り返りを行い、計画と対策を改善する
イメージファイルサーバーでランサムウェアの暗号化が進行中だと分かったら、まずネットワークから切り離す封じ込めです。先にバックアップから復元してしまうと、まだ残っているマルウェアに再び暗号化されてしまいます。

訓練と分析

計画は訓練(Training)とテストで初めて機能します。机上演習(Tabletop exercise)は関係者が会議室でシナリオを口頭で検討する形式で、システムに影響を与えず低コストで役割や手順の穴を見つけられます。シミュレーション(Simulation)は実際の環境や模擬環境で技術的な対応を行う本格的な演習です。インシデント後には根本原因分析(Root cause analysis)で「なぜ起きたか」を突き止め、平時には脅威ハンティング(Threat hunting)でアラートに頼らず侵害の痕跡を能動的に探します。

デジタルフォレンジック

デジタルフォレンジック(Digital forensics)は、証拠を法的に有効な形で収集・分析する技術です。訴訟に備えて関連データの削除を禁じる法的保留(Legal hold)、誰がいつどのように証拠を扱ったかを途切れなく記録する証拠保全の連鎖(Chain of custody)、ディスクやメモリのイメージを取得する取得(Acquisition)、原本を変更せずハッシュ値で完全性を守る保全(Preservation)、裁判で求められた電子データを提出する電子証拠開示(E-discovery)、そして報告(Reporting)が主な要素です。

証拠の取得には揮発性の順序(Order of volatility)があります。CPU のキャッシュやメモリの内容は電源を切ると消えるため最初に取得し、ネットワーク接続や実行中のプロセス、一時ファイルと続き、ディスク、リモートのログやバックアップは後からでも取得できます。

試験のポイント「被害の拡大を止める」は封じ込め、「原因を取り除く」は根絶、「業務に戻す」は復旧です。「会議室でシナリオを議論」は机上演習、「証拠が法廷で有効と認められるために必要な記録」は証拠保全の連鎖が定番です。電源を切る前にメモリを取得する、という揮発性の順序も頻出です。
封じ込めContainment
感染端末の隔離などで被害の拡大を止めるフェーズ。
根絶Eradication
マルウェアの削除や脆弱性の修正で原因を取り除くフェーズ。
教訓Lessons learned
インシデント収束後に振り返りを行い、計画を改善する活動。
机上演習Tabletop exercise
関係者が集まりシナリオを口頭で検討する、システムに影響しない訓練。
根本原因分析Root cause analysis
インシデントがなぜ起きたかを突き止め、再発を防ぐ分析。
脅威ハンティングThreat hunting
アラートを待たず、侵害の痕跡を能動的に探す活動。
法的保留Legal hold
訴訟に備えて関連データの削除や変更を禁じる指示。
証拠保全の連鎖Chain of custody
証拠の取得から提出まで、誰がいつどう扱ったかを途切れなく記録すること。
電子証拠開示E-discovery
訴訟で求められた電子データを特定し、提出する手続き。
揮発性の順序Order of volatility
消えやすい証拠(メモリなど)から先に取得するという原則。
この範囲の問題を解く(3問)
D44.9読了目安 9 分

調査のためのログとデータソース

インシデントの調査は「何が起きたか」をログから再構成する作業です。しかし、ログは種類ごとに記録される内容が違います。「通信が遮断されたか」をアプリケーションログで探しても見つかりません。試験では、調べたいことに対して最初に見るべきログを選ぶ問題が出ます。

ログの種類 主に残る情報 ファイアウォールログ 送信元・宛先・ポート、許可/拒否 IDS / IPS ログ 攻撃シグネチャの検知、遮断の有無 OS セキュリティログ ログオン成功/失敗、権限変更 エンドポイントログ プロセス起動、ファイル操作、USB 接続 アプリケーションログ エラー、ユーザー操作、Web アクセス ネットワークログ NetFlow、DHCP、DNS の問い合わせ メタデータ 作成者、日時、送信者、位置情報
ログの種類ごとに記録される情報が異なるため、調べたい内容に合ったログを選びます。

ログの種類と記録される内容

ログ主な内容こんなときに見る
ファイアウォールログ送信元・宛先・ポート、許可/拒否境界で通信が遮断されたか
IDS / IPS ログ攻撃シグネチャの検知、遮断の有無攻撃を受けたか
OS 固有のセキュリティログログオンの成功/失敗、権限変更、サービス起動不正ログインや権限昇格
エンドポイントログプロセス起動、ファイル操作、USB 接続端末上で何が実行されたか
アプリケーションログエラー、ユーザー操作、Web アクセスアプリの異常や不正操作
ネットワークログNetFlow、DHCP の割り当て、DNS の問い合わせどの端末がどこと通信したか
メタデータファイルの作成者・日時、メールの送信者・経路、写真の位置情報データの出所や改ざんの手がかり
イメージユーザーから「Web サイトが開けない」と言われたら、まずファイアウォールログで宛先への通信が拒否されていないかを見ます。逆に「不審な外部 IP と何をやり取りしたのか」を通信内容レベルで知りたいなら、ログの要約では足りず、パケットそのものを記録したパケットキャプチャが必要です。

ログ以外のデータソース

  • 脆弱性スキャン(Vulnerability scans): どのシステムにどの弱点があったかを示し、侵入経路の推定に役立つ
  • 自動レポート(Automated reports): 定期的に生成される集計。傾向の把握に向くが、個別の通信は分からない
  • ダッシュボード(Dashboards): SIEM などのリアルタイムの要約表示。全体像の把握に向く
  • パケットキャプチャ(Packet captures): ネットワークを流れたパケットそのもの。暗号化されていなければ通信内容を完全に再構成できる

メタデータ(Metadata)は「データについてのデータ」です。文書ファイルの作成者と更新日時、メールヘッダーの送信元サーバーと経路、写真の撮影場所などが含まれ、ファイルの出所や改ざんの有無を調べる手がかりになります。

試験のポイント「境界で遮断されたか」はファイアウォールログ、「ログオン失敗の連続」は OS のセキュリティログ、「通信内容そのものを再構成」はパケットキャプチャ、「傾向の把握」はレポートやダッシュボードです。要約されたデータ(レポート、ダッシュボード)からは個々の通信内容は復元できない、と覚えておけば消去法が使えます。
ファイアウォールログFirewall log
通信の送信元・宛先・ポートと、許可・拒否の判定が記録される。
OS 固有のセキュリティログOS-specific security log
ログオン、権限変更、監査イベントなど OS が記録するセキュリティ関連のログ。
エンドポイントログEndpoint log
端末上のプロセス起動やファイル操作を記録する。EDR が収集する。
ネットワークログNetwork log
NetFlow、DHCP、DNS など、ネットワーク機器が記録する通信の記録。
メタデータMetadata
ファイルやメール、写真に付随する作成者・日時・位置などの付加情報。
パケットキャプチャPacket capture
ネットワーク上を流れたパケットをそのまま記録したデータ。通信内容を再構成できる。
ダッシュボードDashboard
監視状況をリアルタイムで要約表示する画面。全体像の把握に使う。
自動レポートAutomated report
定期的に自動生成される集計レポート。傾向の把握に使う。
この範囲の問題を解く(2問)